by shirokuma-akiki カテゴリ
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2005年の世界人口白書が発表された。これは、毎年10月に世界中で発表されるものである。
今年の人口白書には、平等の約束-ジェンダーの公正、リプロダクティブ・ヘルスという副題ががついている。カバーにはソマリアの少女たちが色鮮やかな衣装をまとっている写真がある。12日の発表を前に各国事務所のスタッフは10月にはいる前からこの書籍を受け取っており、この表紙の写真がトビリシの会議中に物議をかもした。 職場で全世界向けにプログラム用のマニュアルや指針を作るときに、表紙をどうするのか、ということになる。写真をつけるのか、それともデザインだけにするのか。エイズ関連の書籍は、全世界を対称にしたものであっても、アフリカの写真が表紙についていることが多い気がする。 これは、全世界の大多数の感染者がアフリカにいること、そのためアフリカでプログラム展開がなされている場合が多いことはもちろんであるが、そのこともあって、「貧困」「開発」といった、キーワードが目に見えやすい写真がサハラ以南のアフリカから多く集まってきていることもあるのだと思う。 Cultural Senseitivityを看板の隅っこに掲げる組織としては、注意を払っているつもりでも気づくとアフリカの写真がたくさんあることが多い。NYから東欧・中央アジアでのエイズ関連のミーティングに出かけるたびに「またアフリカの写真だったよ」という話〔苦情〕を聞くことになる。 今回の印刷物は、プログラム用ではなく、毎年トピックを絞って作られるアドボカシー用である。日本でもこの白書は発表されて、国際機関Uの取り組みとともにメディアを通して日本のかたがたに紹介されるものである。 日本を含めた大口の資金提供をしている国々、かつてUの支援を受けた国々でいまは少しずつであるがサポートに回っている国々、現在支援を受けてプログラムを実施している国々。すべての国で同時にこの書籍が発表される。 と、すると表紙の写真はどこから来ても、内容に関連があればいいかな、と思ってしまうのだが、「アフリカの写真の表紙」に辟易としている東欧・中央アジアの中でも声が大きいスタッフは納得がいかない、という。「これはプログラム用ではなくって、アドボカシー用に作られている。つまり世界中の人々を対象にUがこの問題を紹介しようとするものである。」という話をしたが、あまり納得していないようであった いろいろと理由はあると思うのだが、そのひとつは、「自分たちは援助を必要としている、事務所が小さいので予算規模がちいさくプログラム資金が足りない。」という声ももちろん聞こえてくるのだが、なぜか各国・地域の経験を共有する場になると、「自分たちはこんなにいいことをやっていて、成功している、問題はあまりない。」というトーンが強くなっていく、というところにあると思う。 東側の旧ユーゴスラビア出身の友人Sはこれを「悲しい旧東側メンタリティー」とよぶ。個人的にはいろいろと自分たちのオフィスや国が抱えている問題をまるで本部に対しての「陳情」のように私に伝えてくれるのだが、全体での議論を観察していると、そこの部分があまり見えてこない。 いろいろと説明をしてもあまり納得が言っていない様子の同僚を前に、私ができることといえば、「地域色がよく出る解像度の高い写真を本部の写真ストックに加えられるように提供してほしい、その写真はできるだけヒトの動きが見えるものがいい、ロゴが就いたTシャツを着ての記念写真はコレクションにはいいけど、人口白書には向かないでしょう。」ということであった。 グルジアのミーティングが終わってすぐにある国から何枚か写真が送られてきた、8枚ほどの写真のうち記念写真的なものが半分以上であった。うーん、何か根本的な解決方法が必要そうである。 追伸: 実際のところ人口白書で使われている写真は、国際機関の活動を通して撮影されたものではなく、国際協力の活動に関しての写真を扱っている団体、もしくは企業から購入されていることが多い。そういう団体・企業のウエッブサイトをのぞいても、アジア・アフリカの写真が多く、東欧・中央アジアの写真が少ないというのは現実である。
by shirokuma-akiki
| 2005-10-12 18:50
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