by shirokuma-akiki カテゴリ
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最近、職場のトイレに、コンドーム・ディスペンサーが設置されました。ディスペンサーといってもお金を入れて、買う式のものではなく、ただの入れ物が壁に取り付けたある、といった感じです。そして、その中あるのは、女性用と男性用のコンドームです。数年前からこのディスペンサー設置に関してはいろいろと意見が出ていたのですが、ついに設置されました。その背景は次のとおりです。
HIV and AIDS in the UN Workplaceという国連システム職員とその家族のためのエイズ対策には、いくつかの項目が含まれていますが、そのひとつがこのコンドームです。国連システム職員及び家族はコンドームへのアクセスが約束されています。これは次に書く、エイズに関わる人事規則の中にもあるように、プライベートセクターから高品質なコンドームを常に入手するのが困難な任地では、国連人口基金及び〔もしくは〕世界保健機構が国連職員及びその家族にコンドームを提供することになっている、というものです。考えてみるとニューヨークでは、結構いろんなところで、高品質なコンドームを買うことができるので、特にこちらで用意する必要はないと思うのですが、この規則の解釈の仕方もいろいろとあるようで、なぜか「やっぱりディスペンサーを取り付けたほうがいい。」ということになり、ディスペンサーが設置されたわけです。といっても、その中にある男性用のコンドームは、アメリカ産でも日本産でもなく、途上国から注文が来ると調達される、廉価なコンドームです。もちろん品質には問題はないのですが、かなり分厚いものです。 本当にみんな使ってくれるのかどうか、心配な部分もありますが。。 日本と違って、コンドームの自動販売機があるわけではなく(今もありますか?)薬局やお店で買うのはちょっと、という人やコンドームをお金を払ってまで使いたくない、という人がアクセスするには、トイレはやっぱり便利なのでしょう。 さて、コンドームもそうですが国連システムにおけるHIV/AIDS対策の中心というよりは、むしろ土台となっているのが、「国連のエイズに関する人事規則」です。これには、先にふれた「コンドームへのアクセス」はもちろん、「採用時の健康診断にはHIV抗体検査は含まれない、」というところから始まって「スタッフが団体保険に加入する際には、HIV感染の有無は問われない」、「交通事故時の輸血の際に地域によっては、安全な血液が手に入らないこともあるので、車に乗ったら必ずシートベルトの装着を徹底させること。」などといったことが含まれています。驚きなのは、この規則自体は1991年にできたものだということです。この10数年は、必要に応じて使われてきたようですが、その存在すら知らない人たくさんいて、今回のこのプログラムが始まってから、少しは知られるようになってきたようです。 上の2つの項目のほかに、エイズに関する基礎知識、HIV感染の予防法、職場に感染者がいる場合の接し方などを含めた3時間半ほどのトレーニングが、NYの国連システムで働く職員のために開かれています。トレーナーは、トレーニングを受けた国連の職員がほとんどです。私も6月下旬にトレーニングに参加してきました。組織によっても違うのですが、私の働いている組織では、このトレーニングを受けることが義務付けられていています。 トレーナーが男女一人ずついたのですが、女性のほうは押し付けがましいおばちゃんという感じでいまいちでした。トレーニングのクライマックスは、女性用コンドームの説明でした。女性用コンドームを見たことがある人はほとんどおらず、かなり真剣なまなざしで装着のデモンストレーションを見ていたのが印象的でした。私は、そのデモンストレーションを食い入るように見ていた参加者の様子をみておりました。 たった3時間のトレーニングでどれぐらいの効果が出るのかはよくわかりませんが、基礎知識を確認して、エイズに対する意識を高くする、という意味では一時的には効果がありそうでした。 昨日あった日本人の知人が、トレーニングに先週参加したよ、と教えてくれました。知らないことがいろいろとわかってよかったし、なんといっても女性用コンドームを初めてみたのよ。といってました。それに、トイレにコンドームがあったね。とのことでした。実際に使うかどうかが大事ですが、まずその前に一歩として、そこにコンドームがある、という状況を作り出す、ということでは、トイレのディスペンサーはやっぱり存在価値があるのかもしれません。
by shirokuma-akiki
| 2005-07-25 12:36
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